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万国博覧記

万国博覧記

箏
箏々
公開: 2026/4/26更新: 2026/4/26

 大阪公立大学文芸部の一年生三人で万博を訪れ、それぞれの視点から文章を書きました。順番に綴られる三者三様の感想の違いも含めてお楽しみください。

 一番手は柳原遼佳です。


万国博覧記 -前編-

 中央線の終点は、夢洲駅。「次はいよいよ夢洲です」という車内放送。万博に向かう電車に乗っていると、未来に対しての憧れで、興奮で、胸が昂った。駅に到着すると、夢洲駅は中央線のエメラルド色に輝いていた。メタリックで、デカいディスプレイがある構内は刺激的で洗練されていて、私がぼんやり想像している未来の概念を鮮明に表現してくれていた。

 私達、大阪公立大学文芸部一年生三名は万博にやってきた。私達はまず、ギネス記録にもなっている世界最大の木造建築である大屋根リングに登った。ワクワクした。大きい建築って、なぜ浪漫を感じてしまうのだろうか。人が創り上げたことに対する尊敬からだろうか。大屋根リングから眼下に広がる景色には、パビリオン達が個性を主張しあっていた。大屋根リングからは海も見えた。「あの船は何を運んでるんやろ?」とか「あれあべのハルカスちゃう?」とかたわいもない話をしてその海を眺めていたような気がする。記憶は朧げだけど、書いている今、懐かしいような切ないような穏やかな感情に駆られている。きっとこれも青春の一頁なんだろう。

 飯田グループ×大阪公立大学共同出展館では、未来の街のジオラマとか人工光合成の展示があった。ばらばらになって展示を見たり、ジオラマの中に隠れているミャクミャクを探してみたり、また集まって階段の上からジオラマが光っている様を眺めてみたりと私達なりの味わい方をしてみた。実はこのパビリオンに入ったのは私は初めてではなく、やっぱり部活で来ているのだからここは外せないだろうっていう軽めの使命感でやってきた部分も否めなかった。一方で、新しい何かを再発見しようという気持ちとか、同じものを違う視点からみてみようっていう気持ちとかもあった。みんながそれぞれに何かを感じて楽しめていた事を願ってる。

 スペイン館はまず暗い海の中みたいな部屋があって、そして次に凶暴なオレンジ色の夕陽に照らされてるみたいな部屋があった。一つ目の部屋では支倉常長が江戸時代にスペインに派遣された話とか、財宝が乗ったスペイン船が沈められて長い間眠っていた話が書かれていた。それから、水色に光る大きくて海流を示す地球儀とか、海の生き物が表示されている液晶とかもあった。私達は歴史の中に生きているんだって、海は深いんだって改めて実感した。

二つ目の部屋ではスペインの地上とかスペインにいる人々の写真とかがあった。深い海の中から出てきた私には眩しくて、あたり一面のオレンジ色に少し落ち着かないようなけばけばしさを感じた。

私は万博の、こういうふうな、物理的には近くても全く違うどこかに着いたような驚きとか新鮮さを感じられるところが好きだった。各国のパビリオンでは各国の匂いがした。


万国博覧記 -中編-

 続いて、箏々がお送りする。
 スペインパビリオンを見た後は、リングに沿って西へ進みつつ次に入るパビリオンを選ぼうという話になった。もうあたりは暗くなってしまった。とはいえど、万博の中はパビリオンの群れが発する様々な光で満たされているから、背景が灰から黒に変わった以上の変化はない。
 長蛇の列ができているパビリオンを横目に歩いていると、一つだけ奥に引っ込んだパビリオンが現れた。違う、列ができていないのだ。回転率が良いようである。手前には「バーラト」という大きな文字。立ち止まって顔を見合わせる。折角の万博、空いているなら好都合。フレンドリーなスタッフさんにお辞儀しつつ、私たちはインドパビリオンへと入った。

 パビリオン内は美術品から鉱物から最新技術から伝統工芸品から、(当然だが)あらゆるインドの物が並べられていた。特に筆者の印象に残った展示品は2つ、まるで電子回路のような模様がついている布と、最後の部屋を彩るカラフルな織物だった。電子回路の布は比較的大きく、壁に掛けて展示されていた。布のいくつかの場所で、ちかちかと光が明滅している。説明によると、この布にはセンサー等のデバイスが縫い込まれており、模様だけでなく正しく「回路」であるらしい。純粋にこの技術に驚いた。また、色とりどりの織物には「圧倒された」という言葉が似合う。壁一面に布がかけられていて、どれも違う色や模様を持っていた。緻密な刺繍がされているものもあり、布1枚1枚が独特の迫力を持っていた。部屋全体に華やいだ雰囲気が漂っていた。
 展示の終わりにはスタンプ台が設けられていたが、その横にあった池のオブジェも個人的には好きだ。水面がまるで生きているかのように作られていて、光の加減も相まって綺麗だった。

 インドパビリオンを堪能し外に出た後も、リングに沿って西へ。そのうちに少し広い道路とぶつかった。「大地の広場」と呼ばれる場所で、その道路沿いにはまたいくつかのパビリオン。移り気な私たちはリングから逸れ、そのパビリオンを少し見てみることにした。
 セルビア、バルト館、アルジェリア、チリ…いろいろなパビリオンに心惹かれていると、部員の一人がカンボジアパビリオンを勧めてくれた。
 部員のオススメとあらばいざゆかん。そうして私たちはカンボジアパビリオンへと足を踏み入れた。

 カンボジアパビリオンはインドパビリオンに比べて小さかった。が、中身の迫力はこちらも劣らない。入口をくぐったすぐ先には、網を引く人の像と、水牛のような動物の像。魚も数匹おり、すべて籐のような素材でできている。人は等身大、水牛も同じぐらいの高さがあり、入ってすぐだったので正直びっくりした。そしてメインの部屋には、大きな石造りの神殿のようなものが据えられている。よく見てみるとこれは模型で、コー・ケー遺跡を再現したものだという。壁の1面を使って設置されていて、こちらも人の背丈ほどの高さだ。中央に設置されている稲の模型も相まって没入感が高い。そしてその模型の反対側には、みなさんご存じアンコール・ワットの模型が設置されている。こちらはずっと小さいが、全体が模型化されていた。総じて、お勧めされたことにも納得の満足度であった。


万国博覧記 -後編-

 筆者替わりまして、選言一命です。コモンズ館、ベトナムパビリオン、ドローンショーと退場についてと、万博全体への拙文をどうぞよろしくお願いいたします。

 一行はコモンズCを訪れた。コモンズ館はいつ行ってもすぐ入れる優れた場所であったからである。その体験について仔細に述べても良いのだが、ここではコモンズ館というものについての筆者の体験を総括的に述べさせていただく。

 筆者はコモンズ館は複数回訪れた。会期初めと、夏ごろ、終盤。時を重ねるごとの展示物の充実がコモンズで顕著であったことは、インターネットを少し彷徨すれば容易に知れたことだが、充実していったのはモノだけではない。コモンズ館は広い会場に多くの小さな各国ブースが密集している。その小さなブースのひな型は実にシンプルで、どう活用するかはそれぞれに委ねられる。簡潔に言うと、充実していったのは各国の色である。色というのは勿論比喩で、各国がどのように己をアピールしていくか、それが多様化していったということである。ある国は歌い、ある国は踊った。スタッフはにこやかにビジターに話しかけ、あるいは話しかけられた。モノだけでなく、ランゲージも充実していった。無論ランゲージは人間の発声する英語だの日本語だのの言葉を意味しない。それらの言語のスピーキングに親しい人は少なかった。しかし、人間の持つもう一つのランゲージ、身振り手振りがあった。

 また、ある国には訪れた人のメッセージが壁にびっしりと展示されていた。書かれた文字のすべてが読めるだろうか。日本語を母語として二十年を生きてきた自分ですら工程は難しいものだ。しかし、見ることはできる。線の揺らぎ、流れ、丸みを帯びたり、角度をつけたり。絵が描かれているのも良い。紙片の上の全ての線が、書いたひとのこころを届けているのである。そこに交流は確かに存在していた。

 ベトナム館には意外やすんなり入場できた。ミャクミャクハウスとロボット&モビリティステーションに挟まれた珍しい立地で、完成とお披露目の少し遅れたそのパビリオンはその2要素をものともせずいい感じの繁盛を見せていたからである。一般的なおおよそ一方通行のパビリオンは通路が狭く感じる程に鮮やかな展示物と訪問者が詰め込まれていた。もとより面積は狭かったが。その天井は、ひな型を博覧会協会が用意するというスタイルのために見えてしまうダクトすら気にならないほどに赤と黄の旗で飾られていた。東南アジアの目に眩しい空気を感じられる良い空間だった。レストランから終始いい匂いがしていたのに、長蛇の列のため諦めたのが未だの心残りである。

 さてベトナム館を出て一行は、混雑を避けるために早々に会場を離れることにした。とは言え会期も残り一か月を切り、出口付近は人だかり。牛歩に巻き込まれてしまった。しかしながらそれが僥倖、遅々たる微々たる進みの最中、ドローンショーが始まったのである。

 脊髄を優しく押すようなピアノの調べに人混みは顔を上げた。そこには星ならぬ光明がひとつ。そしてふたつみっつと組みあがっていく。人混みはその光線の奏に眼を奪われる。スマートフォンという狭い板に雁字搦めにされていた視線は広い空に注がれる。感嘆の声が上がる。上がった場所は異なれど、その答えは異なれど、議題は同じ、ひとつの空の煌めく彩。夢洲駅目前にして眼に映ったのは、このドローンショーのタイトル One World, One Planet. 大屋根リングを離れても、ぼくたちはまだ円環の内にいたというわけだ。

 いのちかがやく未来のデザイン。これは今万博のテーマである。やさしい木の円環の内に広い世界の多彩なデザインを抱き、未来を思わせる。ちなみに今回は大屋根リングからすべてが見渡せるようにすべてのパビリオンの高さを一定にデザインするように決めたそうである。円環には連帯が生まれた。そしてその中心にあるのは静けさの森、木々と安らかな水面である。それはけして人を並ばせるような大人気のスポットではなかったが、虫を呼び、鳥を呼んだ。円環には自然との調和が生まれた。そして円環は人々の心に刻まれた。今ぼくらがこうして書いていること、これがまさにそうである。

目次

  • 万国博覧記 -前編-
  • 万国博覧記 -中編-
  • 万国博覧記 -後編-

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